年収1000万 ITフリーランスの随想録

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フリーランスにとって契約は身を守る最後の砦~契約書をきちんと読もう(前編)

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

昨日、あるITコンサルタント案件の契約を結びました。

契約の内容は一応すべて目を通しましたが、面倒でした^^;

 

契約書は先方から提示されたもので、多くのIT契約書と同様、ほとんどどこかで見たような内容でした。

 

新鮮味のない文字の羅列を眺める億劫な作業なのですが、確認しておくことが重要と考えています。

 

そこで良いきっかけと思い立ったので、なぜ私が面倒ながらも毎回似たような契約書を確認しているのかなど、ITフリーランスにおける契約について私の経験上のナレッジをシェアしたいと思います。

 

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そもそも契約書とは

 

ITフリーランスがお客様にサービスを提供する場合には、基本的に法律上の契約関係が生じています。

 

契約関係を生じるには必ず契約書を作成しなければならないということはないですが、ある程度の規模の取引では契約書を用意することが多いです。

 

契約書を用意しないケースの例としては、例えば「身内」*1での取引とか、取引金額が小さいとか、だいたい個人事業主同士での少額のお仕事のような場合に契約書を作らないケースが多くなります。

 

このような場合に、「契約書を作りましょう」ということは、なかなか日本人のメンタルとして難しいものがあります。

私も何度も契約書なしの仕事を受けたことはあります

 

しかし、このような場合でも双方の「発注の意思」「承諾の意思」が確認できれば法律上の契約関係が成り立ちます(法律用語としては「諾成契約」ですね)。

 

さて、多くの場合、お仕事上のもめごとは、

  • そもそも双方に契約があったのか
    ※発注者が「そもそも仕事を頼んだ覚えがない」としらばっくれるという話を聞くことは少なくないです。
  • 契約はどんな内容であったのか
    ※作業内容(工程や範囲)、納品期限、報酬、などなど

のような認識に齟齬があることがほとんどなのですが、この内容を客観的に証明する手段として、契約書があると便利だということです*2

 

契約書がなくても、メールやチャットの履歴、はたまた録音などを残しておけば、のちのち裁判などでも契約内容の証拠として使えるようです。

しかし、そのやり取りや履歴が本当に双方が納得したうえで行われたかどうかなどの証明が難しい場合があるので、契約書を作成し、契約に関する内容を網羅的に記載して、それぞれ押印などの手段で残しておいた方が証明力が高いとなります。

 

 

ITフリーランスの契約

 

ITフリーランスとして直接クライアント先に出向いてサービスを提供する場合でも、エージェントに紹介された案件の場合の多くは、ITフリーランスとエージェントの間で契約を結び、エージェントとクライアントの間で契約を結びます。

 

2段階の契約になるわけですので、この場合、ITフリーランスとクライアントの間には直接の契約関係はありません。

そして、クライアントから見たITフリーランスは、簡単に言うと「エージェントの一員」ということになります。

 

したがって、ITフリーランスが作ったバグでクライアントに損害を与えた場合の責任(賠償など)は、クライアント⇒エージェント⇒ITフリーランス、という段階で及びます。

 

クライアントが仮に「ITフリーランスよ、賠償しろ!」と言ったとしても、ITフリーランスが「いやいや、おたくとはそもそも契約関係にありませんので」と言えば手出しできません*3

したがって「おたくのITフリーランスがやらかしたから、契約に従ってエージェント、お前が賠償しろ!」となるわけです。

 

場合によっては、エージェントがクライアントに対して賠償するものの、ITフリーランスには賠償をしない、という寛大なケースもあるかもしれません。この場合、ITフリーランスにとっては、エージェントが責任をかぶってくれた、という感じのニュアンスになりますね。

 

そんなラッキーケースではなくて、クライアントからの損害賠償をエージェントが受け入れて、エージェントがその損害賠償をITフリーランスに求める場合、その賠償範囲や金額などは、エージェントとITフリーランスの間の契約によって決まります。

 

この時に、契約書で取り決めた内容が重要になってきます。

契約書がないと、こんな場合の取り決めなんて普通口頭でやりませんよね。

 

こういう場合が、契約書の記載が重要になるひとつの典型的な例です。

 

(いったんまとめ)

 

ちょっと長くなってきたので、残りは次の記事に書きます。

私が昨日押印した契約書はまさに、エージェントと私(ITフリーランス)の契約書ですので、次回↓は具体的にどのようなポイントを見ていたのかを説明したいと思います。

  

itfreelancer.blog

 

*1:親族間であったり、旧知の間柄であったり、私の他の例だと、同じ士業者の間であったりします

*2:もちろん、契約書に詳細が明示されているということが前提です。イケてない契約書だと、契約内容に曖昧さが残ったり、もめごとの解決に繋がらない場合があります。こういった場合を避けるために、弁護士などに契約書の法務レビューを依頼するわけですね。

*3:「契約責任に基づいた請求」ができないということですが、かなり法律的な話になるので、専門家でない私がここで説明するのはやめておきます。しかしながら、このような抗弁ができることを知らないフリーランスは相当いるのではないかと思います。