年収1000万 ITフリーランスの随想録

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フリーランスにとって契約は身を守る最後の砦~契約書をきちんと読もう(後編)

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

今回も引き続きITフリーランスの契約についてナレッジをシェアします。

前回は、ITフリーランスにおける契約とは何か、また契約書の意義についてお話ししました。

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今回は、私が先日締結した契約で考えたことをもとに、ITフリーランスの契約についての考慮ポイントをいくつかお話ししたいと思います。

 

今回も前回と同様、ITフリーランス⇔エージェント⇔クライアントの3者でITフリーランスである私のエージェントとの契約関係についてのお話となります。

 

ポイント1.報酬の計算方法

 

契約の最も基本的な部分といっても良い報酬の部分です。

今回私の結んだ契約は、稼働率20%で2か月間の総額が48万円税別でした。

 

稼働率20%の意味はこれまでの記事で何度か取り上げていますが、平日5日と考えると、「週1」という稼働になります。

ただし、週によっては休日があり、週の平日がそれより減ることがあります。従って週の平日を基準にして稼働量の20%を計算することはありません。

月の平日を基準にして考えても、週と同様、月の平日の日数は異なります。

 

したがって、月の稼働を160時間(1日8時間×平日20日換算)として考えることが広く行われています。

 

その考え方でいくと、今回の契約の稼働率20%ならば、月間32時間(丸4日)の稼働ということになります。

 

しかし、そういう暗黙の了解を前提に考えることは、問題が起きた場合に頼りないです。契約書上で月の稼働が160時間を基準として考える旨の明示はなされていない場合は、先方と別途確認したほうが良いでしょう

 

特に初回の取引等関係性の薄い相手との取引や、注意したほうが良さそうな相手との取引の場合は必ず確認しましょう。

 

さて今回の私の契約に関しても、20%稼働の考え方の詳細は示されていませんでした。

 

今回私の契約する案件は、私の役割はITコンサルタントであり、このような立ち位置の場合は稼働時間はあくまで目安になることが多くなります。

 

要は時間云々ではなくて成果を出してください、ということですね。

 

つまり稼働時間の多少の変動は先方も私も織り込み済みということで、逆に言えば成果が上がれば実際の稼働が20%より下回っても、エージェントもクライアントも問題にすることはないという想定です。つまり下手に明確化すると私の利益にならないケースもあるということで、契約書の書き換えの手間も考え合わせ、スルーしました。

 

繰返しになりますが、この稼働率の定義があいまいによることで自分が不利になるようなことが想定される場合は、先方と交渉したほうが良い項目です。

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ポイント2.経費の分担

 

クライアント先と私の事務所間の交通費は報酬に含む(つまり私の持ち出し)ということになっていますが、基本リモートワークになるので気にしません。

 

交通費の精算があると私とエージェントの両者で手間になりますし(あくまで金額との兼ね合いですが)、ほぼ発生しない項目であることから今回は無視でよし、というところです。

 

交通費以外の経費については、「甲乙協議の上決定」となっています。これは都度都度エージェントと私で相談してどちらが負担するか考える、ということでよくある書き方です。

 

例えばシステム案件で経費が発生することがあらかじめわかっている場合*1は、契約前に握っておいた方が良いです。案件が開始してから協議してみたら予想外に自分の持ち出しになってしまった、ということを避けるためです。

 

今回の私の例では、この案件でZoomを使用する予定ですが、そもそも自社として毎月Zoomとは契約しているので、新たに必要になるわけではありません。その他特に経費が発生する想定はないので特にこれもスルーでよいです。

 

ポイント3.損害賠償額の「予定」

 

前回の記事で取りあげましたが、例えば自分の書いたプログラムに不具合があり、クライアントの業務に多大な影響を出してしまった場合を想定します。

 

この場合、クライアントはエージェントに損害賠償を請求しますが、エージェントは自分に同様の損害賠償をする可能性があります。

 (なぜ直接ITフリーランスに請求しないかは、前回の記事に理由を書きました)

 

こうなるとフリーランスである自分にとっては大きなリスクですよね。自分のプログラムのミスで1億円の損害賠償をされた、などを考えるとゾッとします。

 

しかも今は会社という盾もない状態。

 

しかしこのような場合に備え、一般的には「損害賠償額の予定」という条項が契約書上に存在することがほとんどです。

 

予定とは、簡単に言うと限度額を決める、ということです。

多くの契約では、「損害賠償額は契約金額を上限とする」と書いてある場合が多いです。

 

例えば今回の私の例だと、2か月間の報酬の48万円が上限です。

私の行為でクライアントがどんな損害を受けても、基本私はエージェントに48万円を賠償すれば良いとなりますので、安心して業務にあたれますね。

 

ただし私の行為が「故意」や「重過失」による損害の場合には、この予定額は無効とする旨の契約が多いです。わざとクライアントに損害を与えた場合なので、当然ですね。

 

ともあれ、「損害賠償額の予定」の記載がない場合は必ず契約の見直しを要求しましょう。

 

(まとめ)

 

さて2回にわたりITフリーランスの契約についてお話ししましたが、いかがでしょうか。

 

契約書はたくさんの文字が並んでいてとても読みにくく感じるものですが、我慢して何度も見ていると、ほとんど似通った内容であることがわかってきます。

 

さらに法務周りの学習をしておくことも効果的です。

 

繰り返しになりますがフリーランスになると自分を最終的に守ってくれるのは法になりますので、得意意識を持っておくことは精神安定上も良いと思います*2

 

法務の学習に関してはまたいつかのタイミングで記事にしたいと思っています。 

 

*1:例として、有料ツールやWifiの使用料、技術調査のための書籍代・研修費、作業用PC・周辺機器の購入代金等が該当します。特にZoomやChartWorkなどのツールはサラリーマンであれば当然会社請求の経費にできますが、フリーランスの場合は契約で握っていないと細かい請求はしづらいものです。

*2:私自身、「法律論で考えれば、自分に理(利)がある」と考えられることで、クライアントやエージェントとの揉め事で必要以上に神経をすり減らす必要がないことが法務を学んで良かった点です。