フリーランスとして独立するタイミングについて思いもよらなかった着眼点(注意点)
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
今回はフリーランスとして独立するタイミングについて、周りの同業者を見ていて「思いもよらなかった着眼点」に気づたことがありますので、軽くお話をしたいと思います。
ちなみに、独立に適切な時期、というのは様々語られることがあると思うのですが、
例えば
- 家族の理解が得られたとき
- 独立後にも仕事をもらえるツテが見つかった時
- サラリーマンの現職で大きなプロジェクトを引き受ける前(引き受けてしまうと、数年は脱サラが難しくなる場合)
などなど、他にも様々あると思います。
しかし今回のお話は、逆に独立するのに不適切かもしれないタイミングについて気付きがあったので、そういう話をしたいと思います。
正直全然深い話ではないのですが、そういうこともあるのかな、ということでフリーランスとして独立する方の何か参考になればと思います。
不思議と多い2008年独立組
フリーランスの世界で仕事をしていると、同業者との付き合いは多かれ少なかれ必ず出てきます。
私は、独立当初に付き合いのあった同業者たちに、不思議と自分の10歳程度上の方が多かったと気づいていました。
そしてその方々の少なくない割合で、実力に疑問を感じる方が居ました。
実際にその方々は、自身のHPなどでは派手に経歴を盛っているので、経験豊富で優秀な人物という風に見えるのですが、実際に一緒に仕事をすると、ほとんど実務経験に乏しい方も結構いました。
当時の私は、こういった40代後半で、フリーランスとして特に売る技術もなくやっている方々は、「会社での出世が望めなくなって、ITで一旗揚げに来たんだろうか?」くらいに思っていました。
そんなある日、上記のような"実力のない"40代後半の同業者の方のFaceboookを見ていて、その方の前職の知人とのやり取りから、どうやらそのフリーランスの方が、前職でリストラされていたようだということがわかりました。
それを知って、私の中でなんとなく「40代後半でスキルが低いのになぜITの世界でフリーランスをやっているんだろう?」と疑問に感じていた方々の共通項に気づいたのです。
ちょうどそのころから10年近く前、2008年にはリーマンショックがあり、その当時に彼らはちょうど40歳程度だったことになります。
なるほど、リーマンショックでリストラに会い、仕方なく独立したのか。
そして彼らの経歴を改めて見直してみると、結構2008年独立の方が多いことがわかり、妙に納得したことを思い出します。
経歴から詮索されることはある
"2008年独立 "については、私がそのような方々と付き合いするまでには考えもしなかったことですが、この件を機に、2008年独立組の方について色眼鏡で見るようになってしまっています。
しかし、そもそもこういった、相手の経歴から勘繰ったり詮索したりすることは、無意識では結構行われているのではないかと思います。
例えばコンサルティングファーム出身者であれば、出会ったフリーランスが元コンサルティングファーム出身者の場合、相手が Up or Out*1 でいう Out になった人なんじゃないか?と勘繰るものではないかと思います。
同様に、エージェントなど、フリーランスの”品定め”が重要な方々にとっては、案外、独立時期について気にしているものなのかもしれないと、自分がエージェントの立場で考えると、そんな気がします(そういう話を具体的に聞いたということではないのですが)。
(まとめ)
ある意味フリーランスとして独立する時期について、細かいことを考えていたらキリがないことは前提として、大不況の時代に独立するということは、周りからの余計な詮索を招くかもしれない、というお話でした。
「2021年春に創業ですか 。大変な時期でしたね~」というエージェントの言葉の裏には、コロナ解雇を勘繰りする意図があるかもしれませんね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
エージェントに報酬について嘘をつかれていた実体験から考えたこと
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
今日は印象に残る過去の実務経験についてお話ししたいと思います。
内容はタイトルに書いたことについてなのですが、偶然が重ならないとなかなか経験(発覚)しないことですので、その経験から私が考えたことを含め、何らかの気付きになればと思いシェアします。
背景
以前、私はあるエージェントから、Aという会社を紹介されてそこにシステムエンジニアとして仕事をすることになりました。
エージェントは小規模な会社で、ほぼ代表のBさんが一人で営業しているような会社さんでした。
以前にも書きましたが、このようなエージェントは、条件面などで融通を聞いてもらいやすいこともあり、積極的にこちらから接触していました。
ただ小規模エージェントなりの弱みもあり、お客様に高単価の提案がしにくいところがありました。規模の大きいエージェントのほうが、やはり単価感は良いように感じます。
Bさんからは「A社とは初回取引でこちらの単価は引き上げにくい。今回はSEの役回りなので、当社で80万円/月で受けるから、10万円を手数料にして、あなたは70万/月の受け取りでどうでしょう?*1」ということでした。
通常、エージェントが顧客から受けた報酬金額をフリーランスに伝えることはありません*2。
一応、私としても「80万のエンジニアというレベル感ではないんですけどね」と応じて、私の経験値のA社へのアピール方法をBさんにお伝えしました。
B氏は「ではちょっと交渉してみますが、頑張りに応じて今後継続の際に単価UPをお願いするという手もありますので」というやり取りがあった後、この話は何となく流れてしまい、当初Bさんの条件(私の受け取り70万/月)で契約書が作成されました。
ただその時の私のB氏の印象は、明瞭会計、フリーランスサイドに立った人のよいエージェントだなという具合でした。
A社のマネージャーの常識外れの行動
さてそんなことがありながらも、私は無事A社のプロジェクトに着任しました。
プロジェクトは新規立上げで、A社のマネージャー1名(C氏とします)と、アシスタントマネージャーが1名、若手2名、その他は外注となり、準大手のSIerの方が数名(若手中心)と、小規模SIer数社のリーダークラスが数名、それと私、という全員で10名超の構成でした。
プロジェクト内面談を経て、私は3つに分割されたチームのうちの1つのチームリーダーに任命されました。
私としては報酬の件もあったので、B氏に「リーダーということなので、このまま頑張って報酬UPに結び付けたいですね」などと状況報告がてらメールしたのを覚えています。
そしてプロジェクトが開始して1か月くらいしたときに衝撃の事態が起きます。
なんと、マネージャーC氏が、プロジェクト全員がアクセス可能な共有フォルダに、我々外注全員の契約書を見える状態にして置いていることが分かったのです。
当然すべて見てみましたのですが、、、
準大手のSIerが最も単価が高く、その会社の社会人2年目の社員でも私より単価が高いようでした。
というより、A社が払う報酬額としては、私がプロジェクト内で最下位でした。
ただ、報酬が最下位なのは何となく想像できていたのですが、A社からB氏の会社への支払いが、90万円/月であったことには、一瞬、何のことかよくわかりませんでした。
しかし何度も記憶をたどってみて、、、
結論としてB氏は嘘をついて10万円多く抜いている・・・ということで理解しました。
しかしこの段階でも、以降でも、怒りという感情は沸いてこず、むしろ、(正直に言えば)プロジェクトメンバーから「低単価のおっさん」と見られるのが恥ずかしかったです。2年目の社員*3より単価が低いと。。。
その後 B氏、C氏との関係
B氏とは定期的にプロジェクトの状況を報告していたので、その席上、上記報酬が公開されている件についても触れ、そういうものは公開すべきでないことを、B氏からA社に申し出ていただきました。
B氏にとっては、A社とB氏間の金額(つまり、嘘)を私に知られてしまったわけですから、そこそこ気まずい雰囲気であったと思いますが、私としては特に普段の調子で状況を説明しただけでした。
後からB氏から聞いた話だと、この件はC氏が「準大手SIerのメンバーが、単価が高いわりにスキルが低いので、発破をかけるために公開していた」という何とも情けない話でした。
公開したことで傷ついたりリーダー業務に支障が出たようだったら申し訳なった、ということも言っていたようです。
(まとめ)この件で思ったこと
本当はB氏はA社から90万で仕事を受けたところ、私に80万と嘘をつき、手数料マージン10%程度を引いて70万の報酬、という説明をされたことについて、私は(不思議と)怒りを感じませんでした。
なぜなら、私はフリーランスで自分の値段を自分で決めるわけですから、あくまでもB社から頂く報酬が妥当かどうかのみで判断するべきと考えているからです。
B氏の側がどれだけ営業にコストをかけているか知る由もないので、そのマージンの適切性については、私が決める話ではない。
もしそれが不満なら、A社の代わりを自分で探してきて直接契約すればよい。
エージェントが気に入らないなら、仕事を受けなければ良いだけです。
フリーランスであればこれくらいの矜持を持たないといけないとも思っています。
実際、そう思っているので、B氏とはその後2~3案件の紹介を受けて仕事をさせてもらっています。
フリーランスで働いていると、エージェントの仲介報酬のことを、「ピンハネ」とか嫌悪している方に出会うことがあります。私からすると「じゃ自分で探せば?」という話なのですが、そんなとき、この経験が思い出されます。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
*1:80万に対して10万円、つまり10%ちょっとの仲介手数料というのは業界的に破格に安いです。つまりこの時は、B氏も案件を獲得したいために、自分も安くして頑張るから、という意味合いが含まれていたと感じました。
*2:それから数年経ちましたが、エージェントがクライアントとの報酬額を明かしたケースは、この方との仕事の時だけでした。
*3:この準大手SIerであれば、私の前職の場合は「下請け」として働いてもらっていた会社でした。下請けの会社の2年目社員より、フリーになった自分の単価が安い、ということになり、それくらいの格差が生じるのは大人として理解していたのですが、実際に体験すると複雑な思いに囚われました。
ITフリーランスは非稼働期の不安とどのように付き合っているのか
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
今日はITフリーランスである私が、非稼働(=仕事がない)の時期に、不安に感じることはあるか、また、その不安とどのように付き合っているのかについてお話ししたいと思います。
ちょうど私が現在非稼働の時期にあるため、思い立って記事にしました。
独立初期は非稼働への不安がかなりあった
独立したての頃は、非稼働への不安が結構ありました。
私はもともと小心者で慎重な性格をしているほうだと思いますが、そうでなくても非稼働期は多くのフリーランスの方も同じように不安に思う方が多いのではないかと思います。
独立当初は、半年先くらいまでの心配をしていました。半年先から仕事が無くなる時期になると、新たなエージェントとの面談をセッティングしていたり準備をしていました。
ずいぶん気の早い話とは思いながらも、エージェントに対しては「半年後あたりから空きますよ」というような近況報告がてら、新たな案件の機会を探していました。
特に私の場合は、すでに述べた通り、100%稼働の案件を避けていたので、有名なエージェントだけでなく、ほぼ個人事業のような小規模エージェントとも幅広くお付き合いしていました。
小規模エージェントだと、こういった半年前などの気の長い話でも割と真剣に案件の相談に乗ってくれていたような印象があります。
彼らにとっても少ないコマをうまくマッチングさせたいという動機があるからでしょうか。
逆にある程度案件を抱える規模のあるエージェントだと「空きになる1か月くらい前に連絡してください」で終わってしまうケースが多かったです。
「1か月前に連絡して、切れ目なく仕事を受けることなんてできるの?」と、おそらく多くのフリーランスの方が感じているのと同じように私も感じていましたし*1、間隔が空いてしまうことも実際に割とあったと思います。
私の場合は、食うに困ったら100%稼働の案件に「避難」できるので、いざとなればやりようはあるのですが、それでも、半年先の収入が見通せないという状態は、当初はそれなりの不安を感じていたというのが現実でした。
実際に非稼働期に入ったらしていること
実際に非稼働期に入ってしまった場合は、自社内業務や交際など、稼働中には時間が取れていないことに取り組んでいました。
自社内業務の例としては、ホームページやブログをメンテナンスしたり、アプリやツールの試用、データのバックアップ、経理などの事務作業などです。
お金が稼げない非稼働の状況下であっても、何かしら手を動かして作業をしていると仕事をした充実感を感じるので、不安感を感じにくくなるため、こうしてデスクに向かうようにしています。
また非稼働時期は、PC環境のリプレースのチャンスです。特に稼働中はこういった作業環境の変更はリスクですので、非稼働期を狙って行います。
さらに自社内のシステムではないですが、私はエンジニアとしてお客様に自分の作ったシステムを納品したりしているので、そのシステムのメンテナンスをすることもあります。
(システムの納品後は、OSやクラウドのバージョンアップに伴うメンテナンス作業があり、それなりに手がかかります。*2)
自社内での作業だけでなく、仕事がらみの交際にも取り組むチャンスです。営業的なことが苦手な私でも、しばらく連絡していないお客様に何かねたを見つけてメールしてみたり、新たなエージェントや同業者に「近況報告や情報交換にランチでもしませんか?」というようなメールを方々に投げて、時間が合う方とご一緒します。
数年経ち、今では非稼働期はほとんど気にならないように
独立当初は非稼働に対する不安感が強かった私ですが、独立数年を経た今は不安感の度合いがかなり低くなっていることに気づきました。
理由は2つあると思っています。
1つは、慣れです。
身もふたもないですが、人間の適応能力は高いなと思うのですが、鈍感になっているのは間違いないと思います。
2つは、実績です。
早めの営業(といってもエージェント頼みですが)をしているのもあり、結果的にこれまで2か月以上の空きが出たことはありません。
独立して2,3年くらいは「今期の売上はこのままだと500万で止まるからマズイ」と思うことがあったのですが、今では「特に焦らなくても1,000万くらいの売り上げは確保できそう」という感じにボトムの収入目途が立ってきたのが大きいと思います。
冒頭で私が現在非稼働期だと書きましたが、実際には案件の引き合いはあったものの、お断りして非稼働期を作っています。
昨年の年末に頑張って売上を作って満足できる売上がすでに見えているので(これ以上売り上げてもすべて利益になる⇒税金で3割持っていかれる)、少しゆっくりしようという考えです。
実際昨年末は大変だったのですが、「来年になれば、2~3か月ゆっくりできる!」というのを楽しみに仕事をしていました。
今では「非稼働を待ち遠しく感じる」くらいに気持ちの余裕を持てるようになったと言えます。
(まとめ)
独立当初は不安に感じている非稼働期ですが、フリーランスを数年やってみることで、だいたいの収入の目途(特にボトムラインの推定)が見えてくることで、不安が軽減されてきたというお話でした。
もちろん前提として、稼げるときには休日を返上してでも売上を上げる、とか、早めの営業活動を心掛ける、などの努力は必要ですが、フリーランスの経験値を高めることで、慣れの心理もあるのか、不安を感じにくくなるのではと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございましたmm
プログラマーは本当に扱いにくい人種なのか
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
今日は世間一般の方が抱く、IT業界、特にプログラマーに対するイメージについて、業界の「中の人」私の経験からその実感をお話ししたいと思います。
私自身IT業界で長く働いていますが、サラリーマンとして業界を見ていたときと、フリーランスに身を投じてから見える業界が違いました。
その違いを、プログラマー像という観点でお話ししようというのが今回の趣旨です。
プログラマー=扱いにくい人たち なのか?
世間一般のプログラマーのイメージとは、
・オタク気質で技術など興味のあること以外には極端に関心が低い
・コミュニケーション下手・一匹狼でチームワークに欠ける
などが代表例なのではないでしょうか。
総じて、「扱いにくい人たち」とのイメージです。
サラリーマン時代の私は、プログラマーに始まりシステムエンジニアやコンサルタントと立場は変わっていきましたが、チームのメンバーにプログラマが居ることがほとんどでしたので、彼らとコミュニケーションをとることは日常でした。
その時の私のプログラマーに対する印象は、プログラマはロジカルなので、自分がロジカルでありさえすればむしろコミュニケーションが取りやすく、またシステム構築はチーム作業なので、そこでチームコミュニケーションも磨かれている。という感じにとらえていました。
さらに私自身のキャリアのスタートがプログラマであったこともあったかもしれませんが、とにかく冒頭のような世間のイメージに反感を抱いていました。
「プログラマーは技術視点で近視眼的になりやすく、コミュニケーション下手だから顧客の前に出せない」などと得意そうに語る業界人を見るたびに「実務を知らないくせに、どこかの本の受け売りで偉そうによく言えたもんだ」と内心憤然としていたものでした。
サラリーマン時代の私のプログラマー像は、ロジカルで、勤勉で、チーム作業もスムーズに進められるまじめな方々、という感じでした。
フリーランスに身を投じて変わったイメージ
結論から言うと、フリーランスに身を投じてから、プログラマー像は大きく変わったという印象です。
ここから先は私の経験に基づく印象ですが、フリーランスのプログラマ全般に通じるものでは決してないとして聞いてください。
そもそもフリーランスで仕事をすると考える人は、プログラマでなくても、やはり普通のサラリーマンの生活に馴染めないとか、チームプレーよりフリーの方が成果を出せるが一定数いるという感じはあります。
もともと日本社会に馴染まない特性に、プログラマー的な気質が加わってなのか、フリーランスのプログラマーには一風変わった方の出現率が(サラリーマンプログラマーに比べて)高い印象です。
フリーランスになってしばらくしてから、もしかして、世間のプログラマーのイメージはフリーランスプログラマーによって作り上げられたのかな?と思うようになりました。
結局のところ、私のこれまでのプログラマーのイメージは、「大企業とその周辺企業にいる、品の良いプログラマー(というよりは「サラリーマン」)」だったのかもしれません。
私はこれまで上場企業や大手と呼ばれる企業に勤務していたので、そのコミュニティにいる範囲のプログラマーしか見えていなかったと気付いたのです。
(まとめ)
今回は、ひとくちにプログラマーと言っても、その属する集団によってかなりその傾向は異なるという趣旨でお話ししました。
私がこれまでに関りを持った「一風変わったプログラマー」の面々については、この先の実務経験を語る記事の中に登場してもらうとします。
今回はいったんここで切ります。
最後まで目を通していただいてありがとうございました。
フリーランスにとって契約は身を守る最後の砦~契約書をきちんと読もう(後編)
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
今回も引き続きITフリーランスの契約についてナレッジをシェアします。
前回は、ITフリーランスにおける契約とは何か、また契約書の意義についてお話ししました。
今回は、私が先日締結した契約で考えたことをもとに、ITフリーランスの契約についての考慮ポイントをいくつかお話ししたいと思います。
今回も前回と同様、ITフリーランス⇔エージェント⇔クライアントの3者でITフリーランスである私のエージェントとの契約関係についてのお話となります。
ポイント1.報酬の計算方法
契約の最も基本的な部分といっても良い報酬の部分です。
今回私の結んだ契約は、稼働率20%で2か月間の総額が48万円税別でした。
稼働率20%の意味はこれまでの記事で何度か取り上げていますが、平日5日と考えると、「週1」という稼働になります。
ただし、週によっては休日があり、週の平日がそれより減ることがあります。従って週の平日を基準にして稼働量の20%を計算することはありません。
月の平日を基準にして考えても、週と同様、月の平日の日数は異なります。
したがって、月の稼働を160時間(1日8時間×平日20日換算)として考えることが広く行われています。
その考え方でいくと、今回の契約の稼働率20%ならば、月間32時間(丸4日)の稼働ということになります。
しかし、そういう暗黙の了解を前提に考えることは、問題が起きた場合に頼りないです。契約書上で月の稼働が160時間を基準として考える旨の明示はなされていない場合は、先方と別途確認したほうが良いでしょう。
特に初回の取引等関係性の薄い相手との取引や、注意したほうが良さそうな相手との取引の場合は必ず確認しましょう。
さて今回の私の契約に関しても、20%稼働の考え方の詳細は示されていませんでした。
今回私の契約する案件は、私の役割はITコンサルタントであり、このような立ち位置の場合は稼働時間はあくまで目安になることが多くなります。
要は時間云々ではなくて成果を出してください、ということですね。
つまり稼働時間の多少の変動は先方も私も織り込み済みということで、逆に言えば成果が上がれば実際の稼働が20%より下回っても、エージェントもクライアントも問題にすることはないという想定です。つまり下手に明確化すると私の利益にならないケースもあるということで、契約書の書き換えの手間も考え合わせ、スルーしました。
繰返しになりますが、この稼働率の定義があいまいによることで自分が不利になるようなことが想定される場合は、先方と交渉したほうが良い項目です。
ポイント2.経費の分担
クライアント先と私の事務所間の交通費は報酬に含む(つまり私の持ち出し)ということになっていますが、基本リモートワークになるので気にしません。
交通費の精算があると私とエージェントの両者で手間になりますし(あくまで金額との兼ね合いですが)、ほぼ発生しない項目であることから今回は無視でよし、というところです。
交通費以外の経費については、「甲乙協議の上決定」となっています。これは都度都度エージェントと私で相談してどちらが負担するか考える、ということでよくある書き方です。
例えばシステム案件で経費が発生することがあらかじめわかっている場合*1は、契約前に握っておいた方が良いです。案件が開始してから協議してみたら予想外に自分の持ち出しになってしまった、ということを避けるためです。
今回の私の例では、この案件でZoomを使用する予定ですが、そもそも自社として毎月Zoomとは契約しているので、新たに必要になるわけではありません。その他特に経費が発生する想定はないので特にこれもスルーでよいです。
ポイント3.損害賠償額の「予定」
前回の記事で取りあげましたが、例えば自分の書いたプログラムに不具合があり、クライアントの業務に多大な影響を出してしまった場合を想定します。
この場合、クライアントはエージェントに損害賠償を請求しますが、エージェントは自分に同様の損害賠償をする可能性があります。
(なぜ直接ITフリーランスに請求しないかは、前回の記事に理由を書きました)
こうなるとフリーランスである自分にとっては大きなリスクですよね。自分のプログラムのミスで1億円の損害賠償をされた、などを考えるとゾッとします。
しかも今は会社という盾もない状態。
しかしこのような場合に備え、一般的には「損害賠償額の予定」という条項が契約書上に存在することがほとんどです。
予定とは、簡単に言うと限度額を決める、ということです。
多くの契約では、「損害賠償額は契約金額を上限とする」と書いてある場合が多いです。
例えば今回の私の例だと、2か月間の報酬の48万円が上限です。
私の行為でクライアントがどんな損害を受けても、基本私はエージェントに48万円を賠償すれば良いとなりますので、安心して業務にあたれますね。
ただし私の行為が「故意」や「重過失」による損害の場合には、この予定額は無効とする旨の契約が多いです。わざとクライアントに損害を与えた場合なので、当然ですね。
ともあれ、「損害賠償額の予定」の記載がない場合は必ず契約の見直しを要求しましょう。
(まとめ)
さて2回にわたりITフリーランスの契約についてお話ししましたが、いかがでしょうか。
契約書はたくさんの文字が並んでいてとても読みにくく感じるものですが、我慢して何度も見ていると、ほとんど似通った内容であることがわかってきます。
さらに法務周りの学習をしておくことも効果的です。
繰り返しになりますがフリーランスになると自分を最終的に守ってくれるのは法になりますので、得意意識を持っておくことは精神安定上も良いと思います*2。
法務の学習に関してはまたいつかのタイミングで記事にしたいと思っています。
フリーランスにとって契約は身を守る最後の砦~契約書をきちんと読もう(前編)
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
昨日、あるITコンサルタント案件の契約を結びました。
契約の内容は一応すべて目を通しましたが、面倒でした^^;
契約書は先方から提示されたもので、多くのIT契約書と同様、ほとんどどこかで見たような内容でした。
新鮮味のない文字の羅列を眺める億劫な作業なのですが、確認しておくことが重要と考えています。
そこで良いきっかけと思い立ったので、なぜ私が面倒ながらも毎回似たような契約書を確認しているのかなど、ITフリーランスにおける契約について私の経験上のナレッジをシェアしたいと思います。
そもそも契約書とは
ITフリーランスがお客様にサービスを提供する場合には、基本的に法律上の契約関係が生じています。
契約関係を生じるには必ず契約書を作成しなければならないということはないですが、ある程度の規模の取引では契約書を用意することが多いです。
契約書を用意しないケースの例としては、例えば「身内」*1での取引とか、取引金額が小さいとか、だいたい個人事業主同士での少額のお仕事のような場合に契約書を作らないケースが多くなります。
このような場合に、「契約書を作りましょう」ということは、なかなか日本人のメンタルとして難しいものがあります。
私も何度も契約書なしの仕事を受けたことはあります。
しかし、このような場合でも双方の「発注の意思」「承諾の意思」が確認できれば法律上の契約関係が成り立ちます(法律用語としては「諾成契約」ですね)。
さて、多くの場合、お仕事上のもめごとは、
- そもそも双方に契約があったのか
※発注者が「そもそも仕事を頼んだ覚えがない」としらばっくれるという話を聞くことは少なくないです。 - 契約はどんな内容であったのか
※作業内容(工程や範囲)、納品期限、報酬、などなど
のような認識に齟齬があることがほとんどなのですが、この内容を客観的に証明する手段として、契約書があると便利だということです*2。
契約書がなくても、メールやチャットの履歴、はたまた録音などを残しておけば、のちのち裁判などでも契約内容の証拠として使えるようです。
しかし、そのやり取りや履歴が本当に双方が納得したうえで行われたかどうかなどの証明が難しい場合があるので、契約書を作成し、契約に関する内容を網羅的に記載して、それぞれ押印などの手段で残しておいた方が証明力が高いとなります。
ITフリーランスの契約
ITフリーランスとして直接クライアント先に出向いてサービスを提供する場合でも、エージェントに紹介された案件の場合の多くは、ITフリーランスとエージェントの間で契約を結び、エージェントとクライアントの間で契約を結びます。
2段階の契約になるわけですので、この場合、ITフリーランスとクライアントの間には直接の契約関係はありません。
そして、クライアントから見たITフリーランスは、簡単に言うと「エージェントの一員」ということになります。
したがって、ITフリーランスが作ったバグでクライアントに損害を与えた場合の責任(賠償など)は、クライアント⇒エージェント⇒ITフリーランス、という段階で及びます。
クライアントが仮に「ITフリーランスよ、賠償しろ!」と言ったとしても、ITフリーランスが「いやいや、おたくとはそもそも契約関係にありませんので」と言えば手出しできません*3。
したがって「おたくのITフリーランスがやらかしたから、契約に従ってエージェント、お前が賠償しろ!」となるわけです。
場合によっては、エージェントがクライアントに対して賠償するものの、ITフリーランスには賠償をしない、という寛大なケースもあるかもしれません。この場合、ITフリーランスにとっては、エージェントが責任をかぶってくれた、という感じのニュアンスになりますね。
そんなラッキーケースではなくて、クライアントからの損害賠償をエージェントが受け入れて、エージェントがその損害賠償をITフリーランスに求める場合、その賠償範囲や金額などは、エージェントとITフリーランスの間の契約によって決まります。
この時に、契約書で取り決めた内容が重要になってきます。
契約書がないと、こんな場合の取り決めなんて普通口頭でやりませんよね。
こういう場合が、契約書の記載が重要になるひとつの典型的な例です。
(いったんまとめ)
ちょっと長くなってきたので、残りは次の記事に書きます。
私が昨日押印した契約書はまさに、エージェントと私(ITフリーランス)の契約書ですので、次回↓は具体的にどのようなポイントを見ていたのかを説明したいと思います。
エージェント経由でITコンサルタント案件獲得に役に立ったスキル(後編)
こんにちは。アラフォーITフリーランスです。
30代前半で独立して、様々なエージェントに様々な案件を紹介いただいた経験を持つ筆者が、エージェントを通じた案件獲得で役に立つと思われるスキルをシェアします。
今回は前回に引き続き、私自身があればよかったと感じたスキルについてお話しします。
あればよかったスキル2つ
○パッケージシステムの専門スキル
人材市場に技術者が少ないとか、技術習得の難易度が高いスキルは、希少性があり、当然高単価に繋がります。
オープン系*1に比べ、個別のベンダーが提供している業務パッケージに関するスキルは希少性が高いと言えます。
代表的なものに基幹業務システムのSAP*2が挙げられます。
SAPの技術を習得するには、高額の研修を受けて認定資格を取り、その後現場経験を積む必要があり、フリーランスが後から参入するのが難しい領域です。
例を挙げるとオープン系の仕事で単価100万となると、これは高額な部類なのでプロジェクトマネージャーやコンサルタントとしての仕事が多くなります。
しかしSAPでは、実装を行うエンジニアでもゆうに100万を超えてくることが多いです。
残念ながら私はこのような希少性のある領域でのスキルを持っていないため、SAPの高単価求人を見るたびに「サラリーマンの時に希少性のある領域の仕事を経験しておけば良かった」と考えることがあります。
○英語ビジネスレベル
ITフリーランスでも英語が一つの単価の壁になっている印象はあります。
同じ職務内容でもビジネスレベル英語が求められる場合は、2~3割単価がアップする印象があります。
特にITコンサルタント案件ではグローバルプロジェクトも多く、英語が必要条件に入ってくる割合が多いように思えます。
一朝一夕ではどうにもならない領域ですが、やはり持っておいて損はないスキルだと独立してからは痛感しています。。。
(まとめ)
今日は私がエージェント経由で仕事を受ける場合の「あればよかったスキル」についてお話ししました。
ちょっと意外性には乏しいかもしれませんが、実際の経験としてもこのように感じているということで何かの参考になれば嬉しいです。
案件の獲得方法としては、エージェント経由以外にも様々な方法があると思います。
また今度、エージェントを経由せずに仕事を受ける場合に役に立ったスキルなどについて、機会があれば経験談をシェアしたいと思っています。