年収1000万 ITフリーランスの随想録

創業以来年商1,000万以上を継続しているITフリーランスの業務体験記や日々思うことの記録

エージェントに報酬について嘘をつかれていた実体験から考えたこと

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

今日は印象に残る過去の実務経験についてお話ししたいと思います。

 

内容はタイトルに書いたことについてなのですが、偶然が重ならないとなかなか経験(発覚)しないことですので、その経験から私が考えたことを含め、何らかの気付きになればと思いシェアします。

 

背景

 

以前、私はあるエージェントから、Aという会社を紹介されてそこにシステムエンジニアとして仕事をすることになりました。

 

エージェントは小規模な会社で、ほぼ代表のBさんが一人で営業しているような会社さんでした。

 

以前にも書きましたが、このようなエージェントは、条件面などで融通を聞いてもらいやすいこともあり、積極的にこちらから接触していました。

 

ただ小規模エージェントなりの弱みもあり、お客様に高単価の提案がしにくいところがありました。規模の大きいエージェントのほうが、やはり単価感は良いように感じます。

 

Bさんからは「A社とは初回取引でこちらの単価は引き上げにくい。今回はSEの役回りなので、当社で80万円/月で受けるから、10万円を手数料にして、あなたは70万/月の受け取りでどうでしょう?*1」ということでした。

 

通常、エージェントが顧客から受けた報酬金額をフリーランスに伝えることはありません*2

 

一応、私としても「80万のエンジニアというレベル感ではないんですけどね」と応じて、私の経験値のA社へのアピール方法をBさんにお伝えしました。

 

B氏は「ではちょっと交渉してみますが、頑張りに応じて今後継続の際に単価UPをお願いするという手もありますので」というやり取りがあった後、この話は何となく流れてしまい、当初Bさんの条件(私の受け取り70万/月)で契約書が作成されました。

 

ただその時の私のB氏の印象は、明瞭会計、フリーランスサイドに立った人のよいエージェントだなという具合でした。

 

 

A社のマネージャーの常識外れの行動

 

さてそんなことがありながらも、私は無事A社のプロジェクトに着任しました。

 

プロジェクトは新規立上げで、A社のマネージャー1名(C氏とします)と、アシスタントマネージャーが1名、若手2名、その他は外注となり、準大手のSIerの方が数名(若手中心)と、小規模SIer数社のリーダークラスが数名、それと私、という全員で10名超の構成でした。

 

プロジェクト内面談を経て、私は3つに分割されたチームのうちの1つのチームリーダーに任命されました。

 

私としては報酬の件もあったので、B氏に「リーダーということなので、このまま頑張って報酬UPに結び付けたいですね」などと状況報告がてらメールしたのを覚えています。

 

 

そしてプロジェクトが開始して1か月くらいしたときに衝撃の事態が起きます。

 

なんと、マネージャーC氏が、プロジェクト全員がアクセス可能な共有フォルダに、我々外注全員の契約書を見える状態にして置いていることが分かったのです。

 

当然すべて見てみましたのですが、、、

準大手のSIerが最も単価が高く、その会社の社会人2年目の社員でも私より単価が高いようでした。

 

というより、A社が払う報酬額としては、私がプロジェクト内で最下位でした。

 

ただ、報酬が最下位なのは何となく想像できていたのですが、A社からB氏の会社への支払いが、90万円/月であったことには、一瞬、何のことかよくわかりませんでした。

 

しかし何度も記憶をたどってみて、、、

結論としてB氏は嘘をついて10万円多く抜いている・・・ということで理解しました。

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しかしこの段階でも、以降でも、怒りという感情は沸いてこず、むしろ、(正直に言えば)プロジェクトメンバーから「低単価のおっさん」と見られるのが恥ずかしかったです。2年目の社員*3より単価が低いと。。。

 

 

その後 B氏、C氏との関係

 

B氏とは定期的にプロジェクトの状況を報告していたので、その席上、上記報酬が公開されている件についても触れ、そういうものは公開すべきでないことを、B氏からA社に申し出ていただきました。

 

B氏にとっては、A社とB氏間の金額(つまり、嘘)を私に知られてしまったわけですから、そこそこ気まずい雰囲気であったと思いますが、私としては特に普段の調子で状況を説明しただけでした。

 

後からB氏から聞いた話だと、この件はC氏が「準大手SIerのメンバーが、単価が高いわりにスキルが低いので、発破をかけるために公開していた」という何とも情けない話でした。

 

公開したことで傷ついたりリーダー業務に支障が出たようだったら申し訳なった、ということも言っていたようです。

 

 

(まとめ)この件で思ったこと

 

本当はB氏はA社から90万で仕事を受けたところ、私に80万と嘘をつき、手数料マージン10%程度を引いて70万の報酬、という説明をされたことについて、私は(不思議と)怒りを感じませんでした。

 

なぜなら、私はフリーランスで自分の値段を自分で決めるわけですから、あくまでもB社から頂く報酬が妥当かどうかのみで判断するべきと考えているからです。

 

B氏の側がどれだけ営業にコストをかけているか知る由もないので、そのマージンの適切性については、私が決める話ではない。

 

もしそれが不満なら、A社の代わりを自分で探してきて直接契約すればよい。

 

エージェントが気に入らないなら、仕事を受けなければ良いだけです。

フリーランスであればこれくらいの矜持を持たないといけないとも思っています。

 

実際、そう思っているので、B氏とはその後2~3案件の紹介を受けて仕事をさせてもらっています。

 

 

フリーランスで働いていると、エージェントの仲介報酬のことを、「ピンハネ」とか嫌悪している方に出会うことがあります。私からすると「じゃ自分で探せば?」という話なのですが、そんなとき、この経験が思い出されます。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

*1:80万に対して10万円、つまり10%ちょっとの仲介手数料というのは業界的に破格に安いです。つまりこの時は、B氏も案件を獲得したいために、自分も安くして頑張るから、という意味合いが含まれていたと感じました。

*2:それから数年経ちましたが、エージェントがクライアントとの報酬額を明かしたケースは、この方との仕事の時だけでした。

*3:この準大手SIerであれば、私の前職の場合は「下請け」として働いてもらっていた会社でした。下請けの会社の2年目社員より、フリーになった自分の単価が安い、ということになり、それくらいの格差が生じるのは大人として理解していたのですが、実際に体験すると複雑な思いに囚われました。